年末年始のご案内
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正月と食

若 水(わかみず)

一月一日の早朝、井戸水を汲んで神に供えること。またその汲んだ水を若水いう。若水は、年神への供え物や家族の食事を調えたり、お茶をいれたり、洗顔にも用います。

若水は邪気を除くと信じられ、元日の朝早く、まだ人に会わないうちに汲みに行き、もし人に出会っても口をきかないしきたりであったという。

水道が普及するまでは各地で正月の儀礼の一つとして行われていました。 若水を汲むのは年男の役目とする所が多く、水を汲む場所は掘り井戸ですが、井戸が掘られる前は川や泉でした。土地によっては水道が普及した後でも、川や泉で汲むという慣習を守っているところもあるそうです。

水道であれ、水は大切なものであることは今も同じ。蛇口に輪飾りをつけ感謝を込めて汲むと、縁起のいい水になる。これをお屠蘇の後かお雑煮の前にのむそうだ。

女性は、この水で顔を洗うと若さを得、美人にになるといわれ、若水ですった墨で書き初めもする。

お節料理

「お節(おせち)」といえば、今では正月の料理という意味で使われることが多いこの言葉、元々は「御節供(おせっく)」の略。季節の節目に神に供えるものということで「節供」である(今は節句と書くことが多いが、本来は節供)。年神を迎える正月は家族が一同に会し、供物の一部を分かち食する「直会」を行い新年を祝いました。

また、三が日あるいは松の内までに大切な人を招いてもてなす料理でもあり、この饗応自体を「お節」あるいは、「お節振舞」と言ったそうだ。

お節料理は、目出度い材料を用いた「晴れの料理」。また、火を使わないで食べることの出来る料理でもあり、年中忙しい竈の神様と女性を休めるための料理とも言われる。

包丁を使わないということにも金気を避ける・切るという言葉を忌むという意味があるようだ。

現在、一般的にお節料理と言えば重箱に盛られた重詰めの料理のことをいいます。 お節料理は、それぞれにめでたいいわれがあり、地域によっても様々です。

  • 黒豆 「まめに暮らせるように」との語呂合わせ黒は道教では邪除けの色とされている。
  • 蓮根 たくさんの穴がある形状から将来の見通しがきくとの縁起担ぎ。
  • 昆布 「喜ぶ」に「子生」と当てて子孫繁栄。古くはめでたく「ひろめ」「えびすめ」とも。
  • 叩き牛蒡 豊年を象徴する瑞鳥を表し豊作と息災を願う。黒い色は邪を祓う色でもある。
  • ニシン 「春告魚」とも書く春の使者。その子供が数の子「数」は子孫繁栄を表す。
  • 蒲鉾 形が日の出に似ているので、お節に欠かせない。赤は魔よけ、白は清浄を表す。
  • 八つ頭 八方に頭があるように見え、親芋が大きいことから、頭となることを願ったもの。
  • 海老 長寿を表す縁起物の代表格。脱皮は清明の更新とされ祝いの膳の定番。
一般的な重詰め
一の重…口取り
きんとん、かまぼこ、伊達巻き
二の重…焼き物
小鯛の塩焼き、ぶりの照焼き、鶏肉の松風焼
三の重…煮物類
八つ頭、牛蒡、人参などの煮染め、昆布巻
与(四)の重…酢の物
紅白なます、菊花かぶ
祝い肴(三つ肴)…一の重に詰めるか、別の器に盛る
数の子、田作り、黒豆
お雑煮

お雑煮は 正月の祝いの食物です。

お節料理と同じく「直会」を意味し、 雑煮で正月を祝うようになったのは室町時代といわれています。雑煮は、餅が臓腑を保養するところから「保臓(ほうぞう)」から雑煮になったとの説があるようです。

元々は神様へのお供えでそれを「直会」でいただくことによって神様の祝福を受け、1年中家族全員が健康に暮らすことができる。

お屠蘇

お屠蘇を飲んで無病息災を願う

お屠蘇とは正月に飲む、屠蘇散を浸した酒または味醂のことをいいます。邪気を祓い、一年の無病息災を願います。山椒、桔梗、肉桂、白朮、防風などを調合して紅絹袋に入れ、酒か味醂に浸します。古くから、「屠蘇祝う」と称して大中小三種の盃で頂き、無病息災を祈りました。

三ツ重ねの杯を用い年少者から年長者へ各々上の杯から順に計3回づつ飲む。

鏡餅 鏡開き

鏡餅とは神供用の丸くて平たい餅のことで、お供え、お鏡とも呼ばれています。

もともと年神に供える餅のことを言いました。 昔から神仏の祭りには餅を供えるならわしが有り、 鏡餅という名は、鏡の形に由来します。古く、鏡は神の依るところと考えられ、神事に使われ宗教的な意味合いの濃いものでした。今日でも、神社の祭事には薄い鏡状の丸餅を供える所があるそうです。

鏡餅を供える場所は、床の間や神棚、仏壇、年棚といった所から、近年では住宅事情により多様化してきています。 三方に奉書紙を垂らして敷き、ゆずり葉と裏白をのせ大小二つの鏡餅を重ね、その上に橙の他、串柿、昆布などを飾ったものが一般には知られていますが、飾り方も地域や家によって違いがあります。

鏡開きは正月に供えた鏡餅を食す行事。一月十一日に行うのが通例で、刃物で切ることを忌み、手や槌で割ります。鏡餅は「切る」とはいわず、縁起を担いで「開く」と呼ぶ習わしがあります。砕いた餅をおしるこなどにしていただきます。

・・・飾り方も地域や家によって違いがあります。
とにかくおめでたく飾ることが大切。

  • 松竹梅鶴亀 おめでたい飾り熨斗は身代をのし上げることを意味する。
  • ゆずり葉 別名親子草新芽が成長すると古い葉に譲る。子孫が永く続くことを願ったもの。
  • 昆布 「喜ぶ」との意味から広布(ひろめ)夷子布(えびすめ)のめでたい異称もある。
  • 橙 実が7年は落下せず、再生を繰り返す。そこから家の「代々」の繁栄の象徴となった。
  • 裏白 葉が落ちず、新芽が重なって生ずるので家族の繁栄を、また夫婦仲の良さも表す。
  • 紙垂 「御幣」「四手」とも。稲穂の垂れ下がった姿を表し、豊作を祈る神事に使われた

・・・・砕いた餅をおしるこなどにしていただきます。
最近は真空パックされた鏡餅があるが、刃物を使わなければ開かないから縁起上好ましくない。表面にカビが生えていたらアルコールでふき取るか、金たわしでこすり取るとよい。

七 草

「せり・なずな・ごぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな・すずしろ」春の七草。正月七日には、この七草を炊き込んだ七草粥食べると無病息災で一年を過ごせるとか。

恵方巻(えほうまき)

関西ではやりだした行事である。

節分の夜にその年の恵方(歳徳神の在する方位)に向かって、太巻きをまるかぶりするのが習わしで食べている間は、無言でなければならない。

七福神にちなんで、かんぴょう、キュウリ、シイタケ、伊達巻、うなぎ、でんぶなど七種類の具を入れて、福を食べるという意味合いもあるらしい。「福を巻き込む」という説らしい。

「まるかぶり」についても、包丁で切ることで中に巻き込んだ福がこぼれないためとも言う。また、赤い色(でんぶ?)を赤鬼、青い色(キュウリ?)を青鬼と見立てて、これを平らげるという話もあるようだ。

正月と行事

夢見札書き初め

正月2日に行われ仕事の準備をしたり、稽古を始める儀式の日。書き初め用の筆と墨は新しいものを用意し、その年の恵方に向かって若水で墨をすり、おめでたい詞歌や詞、自作の賀頌をしたためる。吉書は神棚に上げておくか、部屋に飾り、15日のどんど焼きの火で焼く。これを吉書揚げといって、紙が高く燃え上がれば上がるほど、腕前は上達するといわれている。

初夢

年が明けて初めて見る夢のことで1月2日に見る夢をさす。夢は神仏のお告げと信じられ夢で吉凶を占ってきた。とりわけ初夢は1年の運勢を判断する重要な物だったからいい夢を見て良い1年になることを願った。めでたい夢の筆頭は「宝船」「一富士、二鷹、三茄子」がある。

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