説明
当社の主祭神である豊玉姫命(トヨタマヒメノミコト)の代表的な御利益が縁結びと安産である事から、当社では縁結びのお守りは特に種類が多いのですが、この新しい縁結びのお守りは、写真のように、赤い糸が巻かれた糸巻きの形をしたお守りです。
なぜ、赤い糸が巻かれた形状なのかというと、「運命の赤い糸」という言葉や、「運命の男女は互いに小指が赤い糸が結ばれている」という伝説に象徴されるように、古来から赤い糸や糸巻きは恋愛や縁結びをシンボライズするものであり、また、古事記など日本の神話でも赤い糸や糸巻きは恋愛の象徴として描かれているからです。古事記には、祟神天皇の御代のお話として、以下のようなエピソードが紹介されています。
『大変美しい活玉依毘売(イクタマヨリビメ)という女性が赤ちゃんを身篭ったのですが、活玉依毘売はまだ結婚していなかったため、活玉依毘売の父母は娘の妊娠を怪しんで、「お前にはまだ夫がいないのにどうして身篭ったのか」と娘に尋ねました。すると活玉依毘売は、「実は名前も知らない大層立派な男性が夜毎に通ってきて、一緒に住んでいるうちに、自然に身篭りました」と答えました。このため、活玉依毘売の父母はその男性を知りたいと思い、娘に「赤土を床のほとりに散らし、糸巻きに巻いた麻糸を針に通して、その男性の着物の裾に刺しなさい」と教えました。
その日の夜も、いつもの男性が活玉依毘売の許に現れたため、活玉依毘売は教えられた通りにしました。そして翌朝糸巻きを見てみると、糸巻きに残っていた麻糸は三輪だけで、針を付けた麻糸を辿ってみるとはその赤糸(赤土に塗れた麻糸)は戸の鍵穴を抜けて遥か三輪山まで続いており、最終的には、三輪山の神の社で留まっていました。そこで、活玉依毘売が身篭った子は三輪山に鎮座する大物主(オオモノヌシ)という神様の子である事が分かり、また、その麻糸が三輪残った事に因んでその山は三輪山と称されるようになりました。』
赤い糸が恋愛を象徴するようになった根拠には諸説がありますが、古事記で紹介されているこの神婚神話も、その有力な説の一つとされています。当社が授与している縁結び関係のお守りは種類が多いため、時々授与品の見本の前でどれにしようかと迷っておられる方をお見受けしますが、どの縁結び守りを受けようか迷った場合は、この糸巻き守を受けられてはいかがでしょうか?